シンガポールの一般路線バスについて、運営方式とか特徴的だと思った点についていろいろと。
主な車両写真はこちらから。

・運行事業者
現在、シンガポールで一般路線バスを運行する事業者は以下の4社。
SBSトランジット:シンガポール最大のバス運行会社。国内全域で姿を見かける存在。
SMRTバス:ウッドランズ、チョア・チュー・カンなど北部方面を主に運行。
タワー・トランジット・シンガポール:ジュロン・イーストなど西部方面の一部。
ゴー・アヘッド・シンガポール:プンゴル、パシー・リスなど東部方面の一部。
SBSトランジットとSMRTバスの2社は以前からバスを運行している事業者、タワー・トランジットとゴー・アヘッドは以下で説明するBCM移行以降の新規参入組である。

・運営スキーム(BCM)の話

以前のシンガポールの一般路線バスは、民間のバス事業者がバスを購入・保有し自社の路線を運行…といったその点では日本と変わらない運営方式であったが、2016年以降のシンガポールの市内路線バスはBCM(Bus Contract Model)という「公有民営」の枠組みの下運行されている。
これは簡単に特徴を挙げると、
陸上交通庁(LTA, Land Transport Authority)がバス路線の運行計画を策定。
陸上交通庁競争入札制度によってエリア毎に運行するバス事業者を選定→バス事業者は入札に参加し運行権を獲得。
陸上交通庁がバス車両を購入・保有→バス事業者は陸上交通庁からリースされた車両を使ってバス路線を運行。
といった点が挙げられる。
【参考】陸上交通庁公式による説明動画(英語・字幕あり)。


ラッシュグリーン
一色に変わりゆくバス塗装
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(SBSトランジットのカラーリング)
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(SMRTバスのカラーリングその1)
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(SMRTバスのカラーリングその2・2014年以降のもの)
このように以前はバスのカラーリングも会社ごとに違っていたが、BCM移行に伴い、運行会社に関わらず全ての市内路線バス車両は順次
ラッシュグリーン塗装統一されることに。
※ラッシュ(lush):[形]青々とした
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(ラッシュグリーン塗装。タワー・トランジットのシングルデッカーとSBSトランジットのダブルデッカー)
また、既存のSBS/SMRTカラー車両に対しても徐々に塗り替えが進行している模様。今のところはまだまだ従来カラーも多く見かけたが、果たしていつまで見られるだろうか。

・SBSカラーのSMRTバス?
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ウッドランズでみかけた車両。色はSBS。でも会社ロゴはSMRT…?
この車に関してはSBSからSMRTへ移籍したというわけではなく、もともとBCM移行以前にSBSが購入契約していた新車を、
BCM移行で購入契約を引き継いだ陸上交通庁がSMRTにリースした結果がこれだそうな。なぜSMRTにリースされたかというと…まあ、いろいろあったみたいで(?)。
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どういうわけだか顔(と後面)が白い車も存在。

・小さいSBSロゴ
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SBSトランジットのオリジナルカラー車両、中には側面の社名ロゴが小さい車両もいた。
理由など詳細は不明。BCM移行となんらかの関係があるのか…?

・特徴的なバス広告車
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シンガポールの広告ラッピング車両、中には屋根上に看板を載せて広告スペースを拡大した車も。
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デリバリー専用のローストチキン屋の広告車。屋根上に鶏(?)とローストチキン…。こんな立体的なのも存在していたり。

・国境を超える一般路線バス
シンガポールの一般路線バスにはアジアでは珍しい国境を超える路線がある。当然一般路線なのでシンガポール市内だけの利用もできる。
他に中国遼寧省丹東市の一般路線バスの中に北朝鮮の新義州へ行く路線があるそうだが、アジアではそのぐらいだろうか。
いずれもシンガポールの隣、マレーシアのジョホール・バルへ向かう路線で、以下の4路線が運行されている。*(SG):シンガポール、(JB)ジョホール・バル
・SBSトランジット運行路線
160:(SG)ジュロン・イースト~(JB)JBセントラル
170:(SG)クィーン・ストリート~(JB)ラーキン・ターミナル
170X:
(SG)クランジ~(JB)JBセントラル
・SMRTバス運行路線
950:(SG)ウッドランズ~(JB)JBセントラル

なお筆者はSBSトランジット運行の170番で(JB)ラーキン・ターミナル→(SG)ブキッ・パンジャン間を現金で利用したのだが、流れとしては以下のような感じだった。
(1)ラーキン・ターミナルでバス乗車。バスはそのまま出国審査場へ直行。
ターミナル窓口ではシンガポール行きのバスの乗車券は発売してないとのことで、バス車内で運転手に行先を伝え現金で乗車券を購入した。なおシンガポール・ドルのみ使用可能(リンギット使用不可)かつお釣りはもらえない
(2)マレーシア側の出国審査場で荷物をすべて持って下車、出国審査を受ける。
(3)バス乗り場へ移動し、再びバス乗車。国境を超える。
なおマレーシア出国審査場→シンガポール入国審査場間、SBSの乗車券を持っている場合は同じSBS運行のバスなら何でも乗ってよい=路線番号の違うバス(160・170X)に乗車しても構わないとのこと。
(4)シンガポール側の入国審査場で荷物をすべて持って下車、入国審査と荷物検査を受ける。
(5)バス乗り場へ移動し、170番のバスを待ち乗車。ブキッ・パンジャンへ。

シンガポール⇔ジョホール・バル間は上に挙げた一般路線バス以外にもコーズウェイ・リンクや星柔快車などの国境越え専用直行バスもあるが、あえて一般路線バスで国境を越えてみるのも良いのではないだろうか。シンガポール市内はこまめに停留所に停車するので遅いが…。